2013年6月
―市民公開講座"環境と肺"―
約14,000リッター。
大人一人が一日に呼吸する量です。
これはだいたい3畳の部屋に満たされた空気の量に相当します。
無塵でも無菌でもない環境に私たちは暮らしているので、ホコリはもちろん、ウイルス、細菌、カビやその他いろいろな有害物質を空気とともに肺に吸い込むことになります。
6月初めの土曜日の午前に "環境と肺"をテーマにした市民公開講座を開催しました。

今年初めからいろいろ騒がれているPM2.5について、肺の病気でどれくらい問題になるのかを知っていただこうというのが今回"環境"をテーマに選んだ理由です。
マスコミで取り上げられることも一時期ほどではないので、みなさんに関心をもっていただけるか心配しましたが、肺年齢測定や日常の食事のカロリー計算等、 恒例の健康チェックを受けた方も合わせて100名以上の市民の方の参加をいただきました。

ホコリの話にもどります。
クーラーのフィルターを掃除すれば実感できるように、一日14,000リッター吸い込む空気の中のホコリは結構な量になるはずです。
場所により変わるでしょうが、寝室などであれば一日に吸いこむホコリはゴルフボール大ぐらいになるかもしれません。
あらためて考えると気分が悪くなりますが、そんな環境で暮らして、ほぼ何事も起こらないのが普通の健康な人間です。
これは、少し大きなホコリなら口、鼻、気道に備わった巧妙な機構でほとんどが体外に排除されるからで、過度に神経質になる必要なないわけです。
ただ、ごく一部の小さなホコリが肺の奥まで到達し、その中にはたしかに身体に影響を与えるものも含まれています。
その代表がPM2.5ですが、特定の組成を指すことばではなく、肺の奥まで届きやすいホコリのサイズをその名前は表しています。
呼吸器の診療をやっている実感として、PM2.5がらみでもともとの肺の病気が悪くなった方が明らかに増えた、という印象はいまのところ幸いありません。
海を越えて飛来するPM2.5 は困ったものですが、身近にあるタバコの煙はPM2.5を多量に含むことは、きちんと押さえておかなければなりません。
さらに、かつての高度成長期には日本の環境中のPM2.5はピークにあり、現在に至るまで順調に減少してきていることも知っておく必要があるでしょう。
環境や仕事で特定の物質を吸入して起こる肺の病気にはさまざまなものがありますが、当院の重要な診療分野となっています。
(2013年6月 近畿中央胸部疾患センター 院長 林清二)
約14,000リッター。
大人一人が一日に呼吸する量です。
これはだいたい3畳の部屋に満たされた空気の量に相当します。
無塵でも無菌でもない環境に私たちは暮らしているので、ホコリはもちろん、ウイルス、細菌、カビやその他いろいろな有害物質を空気とともに肺に吸い込むことになります。
6月初めの土曜日の午前に "環境と肺"をテーマにした市民公開講座を開催しました。


今年初めからいろいろ騒がれているPM2.5について、肺の病気でどれくらい問題になるのかを知っていただこうというのが今回"環境"をテーマに選んだ理由です。
マスコミで取り上げられることも一時期ほどではないので、みなさんに関心をもっていただけるか心配しましたが、肺年齢測定や日常の食事のカロリー計算等、 恒例の健康チェックを受けた方も合わせて100名以上の市民の方の参加をいただきました。


ホコリの話にもどります。
クーラーのフィルターを掃除すれば実感できるように、一日14,000リッター吸い込む空気の中のホコリは結構な量になるはずです。
場所により変わるでしょうが、寝室などであれば一日に吸いこむホコリはゴルフボール大ぐらいになるかもしれません。
あらためて考えると気分が悪くなりますが、そんな環境で暮らして、ほぼ何事も起こらないのが普通の健康な人間です。
これは、少し大きなホコリなら口、鼻、気道に備わった巧妙な機構でほとんどが体外に排除されるからで、過度に神経質になる必要なないわけです。
ただ、ごく一部の小さなホコリが肺の奥まで到達し、その中にはたしかに身体に影響を与えるものも含まれています。
その代表がPM2.5ですが、特定の組成を指すことばではなく、肺の奥まで届きやすいホコリのサイズをその名前は表しています。
呼吸器の診療をやっている実感として、PM2.5がらみでもともとの肺の病気が悪くなった方が明らかに増えた、という印象はいまのところ幸いありません。
海を越えて飛来するPM2.5 は困ったものですが、身近にあるタバコの煙はPM2.5を多量に含むことは、きちんと押さえておかなければなりません。
さらに、かつての高度成長期には日本の環境中のPM2.5はピークにあり、現在に至るまで順調に減少してきていることも知っておく必要があるでしょう。
環境や仕事で特定の物質を吸入して起こる肺の病気にはさまざまなものがありますが、当院の重要な診療分野となっています。
(2013年6月 近畿中央胸部疾患センター 院長 林清二)