細菌検査、抗酸菌検査このページを印刷する - 細菌検査、抗酸菌検査

 細菌検査室は肺炎、抗酸菌症の原因菌を喀痰などの検体を調べて見つけます。
 また原因となる菌がどんな抗生剤に効くのかを調べています。


1.塗抹検査

 当院は呼吸器専門病院ですので、主に喀痰を検査します。まず、喀痰が唾液であるか、膿が含まれた黄色い痰なのかを調べます。検査に適した喀痰は黄色い膿性痰です。そして、黄色(膿)部分の一部を検査用ガラス(スライドガラス)に塗りつけ、菌を特殊な染色液で染めて、原因菌が存在するかを調べる検査です。


2.培養検査

 培養検査は塗抹検査よりも感度が高い検査方法です。
細菌による感染が疑われる場合、喀痰等の検体を、培地(細菌が発育するのに必要な栄養素を含んだ液状あるいは固形)に接種して細菌が発育するかを調べます。細菌は培地(固形)上で集落(コロニー)と呼ばれる菌塊を形成し、肉眼的に観察できるようになり、感染の原因菌を突き止めていきます。原因菌は、臨床症状やその他の検査結果から総合的に判断します。培養日数は菌の種類により、1日から1ヶ月以上かかります。


3.同定検査

 菌名を判定するために、培養検査で得られた集落を用いて、いろいろな検査をし、細菌の菌名(肺炎球菌、結核菌など)を決定する検査です。菌の種類によって抗生剤の効き方が異なるため、正確な菌名を導くために実施する検査です。


4.薬剤感受性検査

 感染症の原因となる細菌に対して、どんな抗生剤が効くかを知るための検査が薬剤感受性検査です。薬剤感受性結果は、感染症の治療に有効と思われる抗生剤の選択に参考されるため、感染症治療において重要な検査です。


5.PCR検査(抗酸菌検査)

 塗抹検査は抗酸菌を顕微鏡で見つけることはできますが、見つけた抗酸菌が結核菌かどうかは判定できません。また、培養検査は菌の発育までに約2週間を要します。PCR検査は検体中に存在する菌を遺伝子レベルで決定するので、培養・同定検査結果を待たずに結核菌と判定する事ができます。


6.結核菌特異的インターフェロン-γ産生能 

 血液中のリンパ球を結核菌特異抗原で刺激した際に分泌されるIFN-γなどを測定する検査です。現在、検査法としてクォンティフェロン、T-SPOTがあります。結核の診断として以前行われていたツベルクリン反応よりも結核菌の感染に対して特異性が高く、結果判定においてBCGを含めた結核菌以外の抗酸菌の影響を受けにくい検査となっています。X線所見や喀痰塗抹標本で結核を確定できず、他の臨床所見等で、結核を疑う場合の診断補助として用いられます。