病理検査このページを印刷する - 病理検査

 病理検査とは患者様の部分から採取された組織や細胞から顕微鏡標本を作り、それを病理医が観察して、どのような病気であるかを診断する検査です。病理検査を行うことで病気の診断確定や病気の広がり、病気の性質などが判ります。それらは患者様の治療方針の決定や治療の効果がどれくらいあったかなどの判定をするために利用されています。病理検査は大まかに1.組織診検査、2.細胞診検査、3.病理解剖の3つに分けられます。


1.組織診検査

 採取された組織から病理組織標本を作り顕微鏡を用いて検討します。検討結果は病理診断と呼ばれ多くの場合、それぞれの患者様にとって最終的な病名の診断となります。組織診検査は材料、方法によりだいたい次の3つに別けられます。顕微鏡標本としては通常のヘマトキシリン・エオジン染色のほかに、必要に応じて免疫染色を含む追加染色標本を作製し、正確な病理診断を目指して業務を行っています。

生検材料 内視鏡などで採取された小さな組織から病理診断を行います。主に治療開始前の病気の診断確定に用いられます。当センターでは、肺がんや結核、いろいろな肺の炎症性疾患などの病気を診断するために行われる気管支鏡検査で採取される組織が主な検査材料です。
術中迅速組織診 手術中に10分程度の短い時間で顕微鏡標本を作り診断をする方法です。術前に確定診断がついていない症例の診断や病変の広がりなどを診断し手術術式と手術範囲の決定に利用されます。確実な手術を行う上では重要な検査法です。当センタ-で行われる肺葉切除術の施行時にはほぼ常に行われている検査です。
手術材料 手術で摘出された肺などの臓器から顕微鏡標本を作り病理診断を行います。病気の本体の解明や病変の広がり、病気の進み具合や予後の予測、治療方針の決定などを目的としています。手術を受けた患者様に対して必須の検査です。当センタ-では肺がんや中皮腫、縦隔腫瘍(肺と胸郭に囲まれた部分にできる腫瘍)などを多数、病理診断しています。
 びまん性肺疾患の診断のために肺の一部が生検された検体も病理診断の対象です。最近では中皮腫を中心とした胸膜、胸膜腔の病変、胸壁組織に発生した病変の病理診断業務も増加しています。

2.細胞診検査

 主にがんの診断に用いられる検査です。喀痰や尿から標本を作り自然に剥がれたがん細胞を観察して顕微鏡で診断する方法と内視鏡などで積極的に病変から採取した材料からがん細胞を見つけて診断する方法とがあります。がん検診にも利用されます。当センタ-では呼吸器のがんを主な対象としており喀痰や気管支鏡検査で得られた検体を数多く検査しています。当センタ-では胸部CT検査を中心とした肺ドックを実施していますが、その一環として喀痰細胞診検査も行っています。


3.病理解剖

 死体解剖保存法に基づき、ご遺族の承諾の上、病死された患者様の解剖をさせて頂き、顕微鏡標本を作製して病理診断を行っています。死因の確定や生前の診療内容の評価、治療が適切であったかどうかなどの検証を行っています。得られた所見は新しい患者様の診断、治療の向上に役立てられています。また、顕微鏡標本は研究テーマとしても検討させて頂いています。