測定意義
リンパ脈管筋腫症(Lymphangioleiomyomatosis:LAM)の確定診断は、画像・病理所見をもとに行われます(難病情報センター)。
血清VEGF-D値は、LAM患者で上昇することが報告されており、特に特徴的な胸部CT所見を有する症例において、LAMの診断補助、鑑別診断、病勢評価、治療反応性の評価などに有用であることがあります(1-4)。ただし、VEGF-D値のみでLAMを診断したり、治療方針を決定したりするものではありません。診断および治療方針には、主治医が臨床情報、画像所見、病理所見、その他の検査結果を踏まえて総合的に判断してください。
また、米国胸部疾患学会(ATS)と日本呼吸器学会(JRS)の共同声明において、LAM診断に対するVEGF-D値測定は強く推奨されています(ATS/JRS guideline)(5)。
測定対象
以下に該当する患者さまを対象とします。
- リンパ脈管筋腫症患者さま(sporadic and TSC)
- リンパ脈管筋腫症が疑われる患者さま
- 嚢胞性肺疾患患者さま
- 腎血管筋脂肪腫を有する患者さま
VEGF-Dの報告値に関して
R&D Systems社のELISAキットを用いて測定します。
- Human VEGF-D Quantikine ELISA Kit
- 型番: DVED00
本測定は、保険適応外の研究用測定です。臨床検査としての診断結果を提供するものではありません。測定結果は、血清VEGF-Dの測定値として報告します。血清VEGF-D値については、LAM診断の診断補助に関する既報や診療ガイドライン等において、800 pg/mLが参考値として用いられることがあります (1-5)。ただし、VEGF-D値が800 pg/mL以上であっても、それのみでLAMと診断することはできません。また、800 pg/mL未満であってもLAMを否定できるものではありません。
VEGF-D測定値を診療上参照される場合には、主治医の責任のもとで、臨床症状、画像所見、病理所見、その他の検査結果と合わせて総合的に判断してください。
測定依頼方法
測定を希望される場合は、VEGF-D依頼書をダウンロードし、必要事項をご記入ください。検体送付前に、記入済みの測定依頼書を下記の依頼先メールアドレスまで送付してください。
依頼先メールアドレスMAIL409-VEGFD@mail.hosp.go.jp
また、今後のLAM診療、研究促進のために、可能な範囲でLAM症例カードの提出にもご協力をお願いいたします。
測定用の検体送付時の注意
測定用検体は、凍結血清約1mLをご準備ください。
- 送付に使用する凍結可能な検体チューブには、患者さまの氏名、患者IDなどの情報は記載しないでください。
- 検体チューブには、匿名化された番号または記号を記載してください。
- 検体は、祝日を除く月曜日から金曜日に到着するように冷凍状態を維持したまま冷凍指定で送付してください。
- 検体送付前に、到着予定日を依頼先に記載の広瀬までご連絡ください。
- 到着時間は、午前中指定でお願いします。
- 測定結果の返信に使用するため、110円分の切手を貼付した返信用封筒を同封してださい。
問い合わせ、依頼先
独立行政法人国立病院機構 近畿中央呼吸器センター 臨床研究センター
広瀬 雅樹
参考文献
(1)Lisa R Young, Rhonda VanDyke et al. Serum vascular endothelial growth factor-D prospectively distinguishes Lymphangioleiomyomatosis from other diseases. Chest. 2010 Sep;138(3):674-81
(2)Lisa R Young, Yoshikazu Inoue, Francis X McCormack. Diagnostic potential of serum VEGF-D for lymphangioleiomyomatosis. N Engl J Med. 2008 Jan 10;358(2):199-200
(3)Masaki Hirose, Akiko Matsumuro, Toru Arai et al. Serum vascular endothelial growth factor-D as a diagnostic and therapeutic biomarker for lymphangioleiomyomatosis. PLoS One. 2019 Feb 28;14(2):e0212776
(4)Lisa R Young, Hye-Seung Lee, Yoshikazu Inoue et al. Serum VEGF-D
concentration as a biomarker of lymphangioleiomyomatosis severity and treatment response: a prospective analysis of the Multicenter International
Lymphangioleiomyomatosis Efficacy of Sirolimus (MILES) trial. Lancet Respir Med. 2013 Aug;1(6):445-52
(5)McCormack FX, Gupta N, Finlay GR et al. Official American Thoracic Society/Japanese Respiratory Society Clinical Practice Guidelines: Diagnosis and Management of
Lymphangioleiomyomatosis. Am J Respir Crit Care Med. 2016 Sep 15;194(6):748-61
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