先生が呼吸器外科医を志したきっかけを教えてください。また、日々の診療では、どのようなときにやりがいを感じますか。
学生時代に親戚を脳腫瘍で亡くしたことをきっかけに、がん診療に関心を持ちました。研修医として患者さんと向き合う中で、がんを手術で治療する外科医を志すようになりました。その後、外科全般を研修し、呼吸器外科が自分に最も合っていると感じ、この道を選びました。ちょうど肺がんの治療が大きく進歩していく時期だったことも、後押しになりました。
日々の診療で一番うれしいのは、治療を受けた患者さんが元気になり、その後も普段の生活に戻っていかれる姿を見ることです。手術には大きな責任が伴いますが、患者さんが元気になってくださることが、私にとって何よりの報酬であり、この仕事の一番のやりがいです。
当院の呼吸器外科では、患者さん一人ひとりに合った手術を行うために、どのような工夫をしていますか。体への負担や、手術後の生活への配慮についても教えてください。
肺をどこまで切除するかは、がんをしっかり治すことと、できるだけ肺の機能を残すことの両面から慎重に判断しています。そのために、手術前には呼吸機能や全身状態を詳しく評価し、一人ひとりの体力やリスクを十分に把握したうえで術式を決めています。
また、可能な限り胸腔鏡手術を取り入れ、傷を小さくし、筋肉や肋骨へのダメージをできるだけ抑えるよう努めています。進行した肺がんでは、手術だけでなく、抗がん剤や免疫療法などの術前治療も積極的に取り入れ、根治性を高めることを目指しています。さらに、術前から術後までリハビリテーションを継続し、早期回復につなげています。当院では特に、ご高齢の方や肺の機能が低下している方の手術経験が多く、退院後の生活まで見据えて、その方に合った治療を選ぶことを大切にしています。
手術への不安を抱える患者さんやご家族とお話しするとき、先生が大切にしていることは何ですか。納得して治療に臨んでいただくために、心がけていることを教えてください。
診療では、一人ひとりの患者さんにとって何が一番よいのかを考え、エビデンスに基づいて、できるだけわかりやすく時間をかけて説明することを大切にしています。治療の選択肢が複数ある場合には、それぞれの利点やリスクをきちんとお伝えし、納得したうえで選んでいただくようにしています。
手術をおすすめする場合も、「手術が可能です」とお伝えするだけではなく、合併症の可能性や術後の経過などを、できるだけ具体的に理解していただけるまで繰り返し説明します。また、実際に手術を受けるとどのくらい痛むのか、いつ頃歩けるのか、どのくらいで退院できるのかなど、患者さんの立場から見た手術後の生活をイメージできるようにお話しすることを心がけています。
どのようなことを心がけて診療に臨んでいますか?
手術に限らず、外来、入院の通常の診療において、患者さんやご家族に口頭だけでなく、文章や図を用いて、治療について説明を行うように心がけています。
また標準的治療という観点だけでなく、高齢化社会、地域医療といった、現在の時代、地域が抱える問題も考えた上で、日頃の診療を行うようにしています。
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