肺化膿症

肺化膿症(はいかのうしょう)とは

肺化膿症は、別名肺膿瘍(はいのうよう)とも呼び、感染症などによって肺が破壊され、内部に微生物や膿がたまった状態を指します(図)。

膿胸(のうきょう)と同じように、重症の呼吸器感染症の1つです。

 

 







  図:肺化膿症


主な症状

発熱、喀痰、咳、食欲不振、全身倦怠感、体重減少などがみられます。
喀痰はしばしば腐敗臭を発し(嫌気性臭と呼びます)、肺が破壊されている場合、ここに血を混じることもあります。
症状はゆるやかに発現することもあり、高齢者の場合、倦怠感や体重減少だけということもあります。

 

原因は?

肺化膿症の原因は、ほとんどが細菌です。
糖尿病、歯の病気(歯周病や歯槽膿漏など)、アルコール依存症などで誤嚥を繰り返す人に起こることが多いとされています。
肺の免疫がしっかりした人であれば肺炎のみで治癒しますが、免疫が低下していると肺炎から肺化膿症にいたります。
また、病原菌が肺以外の感染巣から血流に乗って肺に到達し、化膿巣をつくることもあります。

 

どのように診断するのでしょうか?

胸部単純X線撮影や胸部CT写真などの画像検査で、肺の中に空洞や膿が確認されます。
喀痰検査や気管支鏡検査などによって、原因菌の種類や、菌に有効な抗菌薬を判断することができます。
外から針を刺して診断することもあります。
血液検査では白血球の増加や炎症反応の増加が確認されます。

 

どんな治療をするのでしょうか?

原因菌に有効な抗菌薬を2~4週間程度点滴する必要があります。
点滴治療でコントロールが難しい場合、化膿した肺を全身麻酔のもと病巣を切除することもあります。
肺化膿症では、口腔ケアや虫歯の治療が重要になります。
そのため、治療と同時に口のケアを行う必要があります。