当院では年間約300例の全身麻酔下の胸部手術を行っています。肺癌をはじめとする悪性腫瘍に対する治療方針、手術適応、治療方針は呼吸器外科、呼吸器内科、放射線科による合同カンファレンスで検討しています。手術を安全に行うためには、麻酔科、手術室との連携が欠かせませんが、当院では術前検討会を麻酔科医、手術室スタッフ参加のもとに行っています。
主要疾患
肺がん
わが国で増加している肺がんに対しては、年間180例前後の手術を行っています。病期Iの早期の症例では、完全鏡視下手術を行っています。開胸手術の場合も機能障害や術後の痛みが少なくなるよう、筋肉をできるだけ切らない、胸筋温存下に開胸手術を行っています。進行した肺癌では、術前・術後の化学療法・放射線療法を組み合わせ、内科、放射線科と共同で治療を行っています。
参加している研究グループ
日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)、西日本がん研究機構(WJOG)、日本・多国間臨床試験機構(JMTO)、国立病院機構肺癌研究会など
縦隔腫瘍
胸腺腫や神経鞘腫などの縦隔腫瘍については、大きさや周囲への浸潤の浸潤の有無を評価し、胸腔鏡下の摘出術を行っています。進行した腫瘍の場合は開胸下に摘出術を行います。浸潤された周辺臓器の合併切除が必要な拡大切除術も行っています。
気胸など
気腫性疾患で最も多いのは、自然気胸です。特別な基礎疾患のない若年者の気胸では入院期間ができるだけ短くなるように、緊急手術に準じた手術計画を立てています。肺気腫などの基礎疾患を有する高齢者の気胸でも内視鏡手術を行うことで低侵襲化に努め、80 才を越える超高齢者にも積極的に手術を行うと共に早期離床を図っています。
肺結核、アスペルギルス症など
薬物治療に抵抗する多剤耐性菌結核や非結核性抗酸菌症が最近再び増加しています。
また、結核後遺症の慢性膿胸や喀血、アスペルギルス症を主とする真菌症をはじめとする難治性の感染症に対しても積極的に外科治療を行っています。
診療実績
全身麻酔での手術数を以下に示します。
2022年 | |
---|---|
肺の良性腫瘍 | 1 |
原発性悪性肺腫瘍 | 135 |
転移性肺腫瘍 | 3 |
胸膜中皮腫 | 1 |
胸壁腫瘍 | 0 |
縦隔腫瘍 | 11 |
炎症性肺疾患 | 8 |
膿胸 | 15 |
気胸 | 30 |
胸部外傷 | 1 |
生検手術 | 14 |
その他 | 5 |
全身麻酔手術(総数) | 224 |