呼吸器リハビリテーション

呼吸リハビリテーションとは

呼吸リハビリテーションとは、呼吸器に関連した病気を持つ患者様が、可能な限り疾患の進行を予防あるいは健康状態を回復・維持するため、医療者と協働的なパートナーシップのもとに疾患を自分で管理して、自立できるよう生涯にわたり継続的に支援していくための医療です。(2018年 呼吸器リハビリテーションに関するステートメントより)

どのような方が対象となりますか?

肺炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支喘息、間質性肺炎、肺がん、肺結核後遺症、気管支拡張症などの様々な呼吸器の病気を患っている方、神経や筋肉の病気により呼吸する力が弱くなった方、人工呼吸器をつけた状態の方、手術後で痰を出しにくい状態の方などが対象となります。

呼吸リハビリテーションの目的

日常生活に支障をきたすと、運動や外出する機会が減り、食欲や筋力も低下します。その結果、いざ動こうとすると、さらに呼吸困難が強くなるという悪循環を生じてきます。(下図)。その悪循環を断ち切ることが呼吸リハビリテーションの目的です。

        呼吸リハビリマニュアル-運動療法-第2版より引用

 

呼吸リハビリテーションの効果

呼吸リハビリテーションの効果としては、下記のようなことが科学的に証明されています。
1. 息切れが改善する
2. 運動に耐えるために必要な能力(運動耐容能)が改善する
3 身体活動量が増加する(身の回りのことができるようになる、外出ができる)
4. 不安、抑うつが軽減する

当院での呼吸リハビリテーション

1. 理学療法
息切れ・咳・痰などが強い患者様が、より楽に動作し、より自立した生活を送れるように筋力などの運動機能の改善、効率の良い呼吸法や動作方法、痰の出し方などを練習します。また、退院後も酸素を必要とされる患者様に対しては、在宅酸素療法(HOT)の指導を行い、ご自宅での生活をより良く過ごせるよう支援していきます。

2. 作業療法
トイレや着替え、入浴などの日常生活動作において呼吸困難感の軽減を図るために、動作に合わせた呼吸方法や動作と休息のタイミング、酸素消費の少ない効率的な動作を獲得するための訓練を行います。また、生活スタイルに合わせた活動量の調整や、環境調整を行うこ
ともあります。

3. 言語聴覚療法
慢性呼吸器疾患が原因で嗄声(声がかすれる)・声量低下(声が小さくなる)や摂食・嚥下障害(水分や食事がうまく飲み込めない、よくむせる、食欲がなく体重が減少する等)を認めることがあります。それらの改善のため発声訓練、発声・発語器官の運動訓練、呼吸訓練、嚥下訓練等を実施します。

 

注意点

それぞれの患者様によって、病気の種類や肺の状態が異なるため、呼吸リハビリテーションの内容や強度は異なります。

 

最後に

当院では、呼吸器専門病院として呼吸リハビリテーション入院(約2週間)や嚥下機能評価入院(4泊5日)を行っています。息切れの改善、活動性の維持・向上、自宅で継続できる運動の指導などと共に、病状の評価、服薬内容の確認、栄養指導、日常生活での注意点などを医師・リハビリスタッフ・薬剤師・栄養士・看護師などがそれぞれの専門性を生かし、多職種でチームを組んで皆さんにアドバイスします。
呼吸リハビリテーションや嚥下機能評価をご希望される場合には、主治医へご相談ください。