COPD

COPD(シーオーピーディー)とは

COPD は息切れと、長く続く咳と痰を特徴とする病気です。
ほとんどの場合タバコが原因で、その害が長年に蓄積して起こる病気なので、中年以降に症状が出てきます。
一部に有毒なガスや子供の時の呼吸器感染症などがこの病気を引き起こすことも知られています。
慢性気管支炎(まんせいきかんしえん)、あるいは肺気腫(はいきしゅ)という病名をお聞きになったことがあるかもしれませんが、現在このような病気をまとめてCOPD として取り扱うようになっています。
ちなみに、この病気の正式名称は慢性閉塞性肺疾患(まんせいへいそくせいはいしっかん)といい、その英語病名であるChronic Obstructive Pulmonary Disease の頭文字COPD を病名としています。

 

COPD によっておこる肺の変化

肺は気管、気管支(以上を気道といいます)と肺胞(体内に酸素を取り入れ炭酸ガスを排出するための空気を溜める袋状の構造)のからできています。
肺胞を拡大するとブドウの房のようなかたちをしており、ブドウの柄に当たる部分が空気の出入りする細い気道にあたります。
タバコなどの有害物質を長期にわたって吸い込むと、気道や肺胞の壁に刺激が加わりさまざまな変化が起こります。
気道では痰のもとになる粘液を作る装置(腺組織といいます)が発達します。
細い気道では粘液が気道をふさぐ様に溜まり、その壁を形作るさまざまな細胞が増加したり大きくなったりしてさらに気道は細くなります。
最も奥に位置する細い気道や肺胞は有害物質吸入の結果、その壁が破壊され拡大します。
いったん破壊され拡大した肺の構造はタバコをやめても元には戻らないとされ、拡大した部分に吸い込まれた空気はその場所に溜まり、完全には吐き出せない状態となってしまいます。

 

COPDの症状

・息切れ

坂道や階段を昇るときなど普段より体を使ったときに感ずる息切れ(労作時呼吸困難と言います)で、この病気を最初に疑う場合が多いです。病気が進行すると安静にしていても息切れを感ずるようになります。

・咳と痰

咳と痰は長く続きます。
以上の症状は「COPDによっておこる肺の変化」で説明した肺の変化に由来しますが、いずれもCOPDの時にだけにみられる症状ではないため、「風邪をひいたから」とか「齢のせい」と見過ごされがちです。
したがって長期の喫煙がある場合は、検査によってCOPDがあるかないか確認する必要があります。

*最近の研究では栄養障害、やせ、骨そしょう症、抑うつ、糖尿病、心臓病、胃潰瘍などが起こりやすくなるとの報告があり,COPDは肺だけの病気ではなく全身病であると考えられるようになってきています。

COPD の検査

*呼吸機能検査(スパイログラム)

肺活量などを測定する検査で、COPD の診断に最も重要な検査です。
最大限吸いこんだ空気をどれだけ素早く吐き出せるかという指標である1 秒率(いちびょうりつ)という検査項目は、
「 COPD によっておこる肺の変化」で説明した気道の細さを数値で表したもので、COPD 診断の決め手となります。

*胸部レントゲン写真と胸部CT 検査

いずれも「COPD によっておこる肺の変化」を視覚でとらえる検査です。
特に分解能の高い胸部CT 検査は、自覚症状が出る前の初期の軽微な変化を検知できる場合があります。

*血中酸素

病気の程度の評価に必要な動脈中酸素濃度はパルスオキシメータ(指をクリップで挟んで測定する検査)で簡便に測定できます。
ただし、COPD の病状評価に重要な動脈中炭酸ガスの情報をパルスオキシメータで得ることはできないので、必要な時は動脈から採血をして検査をすることがあります。

 

COPD の治療

*禁煙

進行の阻止と症状の改善に禁煙は必須です。禁煙が出来ない場合は当院の禁煙外来受診(保険診療)を考えてください。ご希望の時は、気軽に外来スタッフに声をかけて下さい。
なお、当院の禁煙外来は予約制です。

*薬物療法

いずれも気管支を広げ呼吸をしやすくする作用によって症状を軽減します。
最近は効果に優れた吸入薬が開発されていますが、残念ながら「COPDによっておこる肺の変化」で説明した破壊された肺を薬でもとの健康な肺に戻すことはできません。
したがって症状を完全に取り去ることはできませんし、薬を中止した場合、症状はもとに戻ってしまいますので、主治医の指示に従って治療を続ける必要があります。

① 長時間作用型抗コリン薬(商品名スピリーバ、シーブリなど)

 一日一回吸入で効果が期待できるCOPD の治療の基本となる薬剤といわれています。
 COPD による肺の障害が軽い場合、早期からこの薬剤を使用した場合はCOPD の悪化のスピードを遅くできるとの大規模臨床試験の報告もあります。
 緑内障や眼圧が高い場合は使えないこともあります。
 前立腺肥大がある場合は排尿困難が悪化する場合がありますが中止すれば症状は改善します。

長時間作用型ベータ2刺激薬(商品名ホクナリンテープ、セレベント吸入など)

 副作用は脈拍の増加、手の振え、貼り薬では皮膚のかゆみなどです。

③ 徐放性テオフィリン薬(商品名テオロングなど)

 副作用は吐き気、脈の乱れなどです。

④ 副腎皮質ホルモン(ステロイド)

 吸入ステロイド剤単独あるいは②の長時間作用型ベータ2刺激薬を含む合剤(商品名アドエアなど)が一部の患者さんに使用されることもあります。

※薬の詳細については主治医にお尋ねください。

*各種ワクチン

インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンの接種が一般に勧められます。
接種については主治医とご相談ください。

*リハビリテーション

COPD 患者さんの心身の良好な維持に有効で薬物療法の効果を高めるといわれており、中等症以上の患者さんが適応となります。
リハビリテーションの適応があるかどうかは主治医に確認してください。

*栄養

バランスの良い食事を取って極端なやせや肥満は避けなければなりません。
必要があれば栄養士による食事指導をいたします。

*酸素療法その他

必要な場合は別途主治医等が説明をいたします。

 

身体障害者の申請

呼吸機能障害があると思われる場合は、市町村の福祉事務所あるいは役所の障害福祉課から身体障害者の申請書類を取り寄せ、呼吸機能障害身体障害者認定の指定医(当院にも複数名指定医資格をもった医師がいます)に障害程度を認定してもらいます。
身体障害者に認定されると身障者手帳が交付され、福祉サービスを受けることができます。
サービス内容は障害の程度と自治体によって異なります。
詳細は地域医療連携室(当院1階減感を入って左手)の担当者にご相談ください。

 

介護保険

COPD は介護保険「要支援」の疾患の一つに指定されています。
市町村に申請し、訪問調査と主治医意見書によって介護度の認定が行われます。
詳細は当院の地域医療連携室の担当者にご相談ください。