間質性肺炎(概論)

間質性肺炎とは

正常な肺には、吸い込んだ空気を入れるぶどうの房状の「肺胞」と呼ばれる小さな袋が多数あります。間質性肺炎は「間質」と呼ばれる肺胞の壁に炎症や損傷が起こる病気です。肺胞の壁が厚く硬くなるため(線維化といいます)、酸素を取り込みにくくなります。間質性肺炎の原因は多岐にわたり、原因不明のこともあります。

 

どのようなことが原因になりますか?

膠原病肺
* 原因: リウマチ・膠原病
塵肺
* 原因: 職業上の粉塵
過敏性肺炎
* 原因: 生活上のカビ・ペットの毛・羽毛などに対するアレルギー
薬剤性肺障害
* 原因: 薬剤・漢方薬・サプリメント

原因不明のものを特発性間質性肺炎(IIPs)と呼びます。
IIPsは主要な6つの病型、まれな2つの病型および分類不能型に分類されます。最も多いのは特発性肺線維症(IPF)です

 

どのような症状がでますか?

主な症状は痰が絡まない咳、労作時の息切れです。

 

診断はどのようにしますか?

症状や胸部レントゲン写真で間質性肺炎が疑われたら、問診(経過、環境、職業、薬剤歴、ペット・鳥との接触歴、家族歴などについてお聞きします)、身体診察、血液検査、CT検査、気管支鏡による細胞・組織検査(肺の一部を採取する検査)などを行い、原因検索や病型の確定、あるいは確信度(その診断がどれくらいの精度か)の決定を目指します。

近年、病理医(肺組織の状態を診る専門医)、放射線科医(肺画像を診る専門医)、臨床医(呼吸器内科専門医)が十分に議論して診断と治療、さらに必要な検査の方針を決定していくことが重要となっており、当院でもしっかり行っています。

細胞成分の検査や組織検査のため気管支鏡を用いて気管支肺胞洗浄や肺生検(経気管支鏡下肺生検、経気管支鏡下クライオ肺生検)を行います。気管支鏡による検査で診断が確定しない場合は全身麻酔での手術で肺の一部を切除して検査を行うこともあります(外科的肺生検)。病気の進行度をみるのに動脈血液検査や呼吸機能検査、6分間歩行検査などを行います。

検査の内容は、患者さんの年齢や全身の状態によって可能な検査が異なりますのでそれぞれご相談しながら進めます。

間質性肺炎の診断は難しく、上記のように検査を重ねて診断を確定しても、その後の経過や診断の確信度により診断の再評価が必要となることがあります。