結核とは
結核は結核菌(Mycobacterium tuberculosis)という菌による感染症です。
結核菌は抗酸菌という細菌のグループに属します。
結核は全身のあらゆる臓器に病気をつくりますが、ほとんどは肺結核です。
骨にできた結核がカリエス、胸膜に結核ができて水がたまるのが結核性胸膜炎(昔”肋膜”と呼んでいたもの)です。
結核の感染と発病
結核菌はヒトの体の中でしか増えることができず、環境の中には存在しません。
従って、結核は必ず結核の患者さんからどこかで菌をもらったことになります。
これは肺結核の患者さんが咳をして散らばった空気中の結核菌を吸い込むことで感染します(空気感染)。
従ってカリエスなど肺に病気のない患者さんからはうつりません。
また肺結核でも、治療がうまくいって喀痰の中に菌が出なくなった患者さんからはうつりません。
たとえ感染しても、発病するのはそのうち1割で、残りの9割は生涯何ごともなく終わります。
感染してからすぐ発病することもありますが、いったん菌が眠った状態になり、その後数ヶ月から時には数十年を経て、免疫が弱った時に菌が増殖して発病することもあります。
結核の症状
肺結核の症状は、咳、痰、血痰、発熱、呼吸困難、全身倦怠感などです。
時に自覚症状がなく、健康診断でレントゲン異常を指摘されて見つかることもあります。
自覚症状だけでは、ふつうの風邪と肺結核を区別することは難しいことが多いです。
咳が1ヶ月以上続くときは、結核の可能性も疑って病院を受診するようにしましょう。
結核の診断
多くの場合、喀痰の検査を行い、その中に結核菌がいないかどうかを調べます。
喀痰で診断がつかない場合には、胃液を取ることもありますし、気管支鏡(肺のカメラ)を行うこともあります。
喀痰の中に菌が見つかった人は、他の人に感染させる可能性が高いので結核病棟に入院のうえでの治療が必要になります。。
結核の治療
結核の治療には抗結核薬という結核菌を殺す薬をいくつか組み合わせて行います。
標準的な治療法は以下のとおりです(すべて内服薬です)。
イソニアジド+リファンピシン+エタンブトール+ピラジナミド 2ヶ月
↓
イソニアジド+リファンピシン 4ヶ月
長期にわたって薬を服用しますので、副作用が出ることがあります。
肝障害、薬剤アレルギーによる皮疹、エタンブトールによる視力障害などが主なものです。
もし副作用が出た時には、中止して他の薬剤に変更したり、少量から再開して徐々に増やしていく方法を試したりしながら、治療を継続します。
現在では、結核は早期に発見して治療すればほとんどが治る病気です。
しかし、薬をきちんと服用しないと治療がうまくいかなかったり、薬がきかなくなったりします。定められた期間きっちりと薬を服用して、しっかりと治しきることが大切です。