CTガイド下生検

検査の内容と目的

CTガイド下生検は、 病変の部位をCT画像で確認しながら皮膚表面より針を穿刺しその組織の一部採取するものです。この検査は、肺や縦隔、胸膜、肝、腎、骨、乳房やリンパ節などの病変の確定診断の方法の一つとして行われるもので、全国の施設で普及しています。気管支鏡検査で診断が困難な病変に対して、CTガイド下生検を行い病変の良悪性の鑑別診断を行うことは今後の治療方針の選択に有用な役割を果たします。

検査の方法

検査は放射線科のCT室で施行します。
病変が腹側・背側のどちらに近い位置にあるかによって、仰向きあるいはうつ伏せで行います。

① CTで病変部を撮影します。
② 画像をもとに、病変まで距離や針を刺す角度、太い気管や血管を
  避けられるかなどを考慮して針を穿刺する経路を決定します。











③ 局所麻酔して外套針を挿入し、CT撮影で針の
  進行方向を確認しながら針を慎重に進めます。
④ 腫瘤の直上まで穿刺できたことが確認されれば、
  外套針内に生検針を挿入し腫瘤内の組織を数回
  採取します。
⑤ 生検が終了した後、肺全体のCT撮影を行い合併症がないことを確認後、一連の検査を終了します。

※病変部の大きさや位置によって、約45-60分を要する検査です。
※呼吸による胸部の動きで針の位置と病変部の位置がずれるため、何度もCTで撮影し慎重に行う検査です。

検査後の注意

検査終了後2時間ベッド上安静にしていただきます。
頭部挙上は脳に空気塞栓が発症する可能性があると言われているため禁止しています。
検査前は絶食となりますが、安静解除後は食事可能です。
翌日に気胸チェックのため胸部X線検査があります。
少量の血痰が出る場合もありますが、2-3日で治まることが多いです。
(検査中に気胸が生じた場合には、 数時間後に気胸の状態をチェックするために、胸部X線写真を撮影することがあります)

偶発症

副作用として、気胸(約10-50%:胸腔に空気が入る状態です。経過観察で消失する程度の軽症のものが大部分。大量に空気が入ると呼吸困難を起こし、胸腔内にチューブを挿入して空気を出させる必要がありますが、その頻度は5%以下)、血痰・喀血(約20%:大多数は数日で消失しますが、必要に応じて止血剤の点滴を行います)、その他稀なものとして、空気塞栓(0.1%以下:血管内に空気が入る状態で脳梗塞や心筋梗塞などが起こり得ます)、腫瘍播種(0.1%以下: 悪性細胞が針の穿刺に伴って肺や胸膜へ病変が散らばる状態)、麻酔薬アレルギーなどが報告されています。

追加外科手術の可能性

診断率は90%以上ですが、まれに合併症や病変の位置や腫瘤の性質により組織の採取がでない場合、組織に病変が含まれず診断できない場合があります。その場合には外科手術にて生検する場合があります。

患者の自己決定権

*この検査の実施については、あなたに自己決定権があります。
*予定される検査を拒否した場合にも、今後の医療行為に関して不利益を受けることはありません。

セカンドオピニオンと質問の自由

他の医療機関でセカンドオピニオンを希望される場合は、必要な診療情報を速やかに提供いたします。内容に関してわからないこと,質問のある場合には担当医に自由に質問することができます