■ 検査の内容と目的
心臓、肺の疾患、特に、肺高血圧症(肺動脈の血圧が高い)、心不全などが疑われるときに、疾患の重症度や今後の治療方針の決定に必要な情報を得る上で有用な検査です。(当院のサイトの「肺高血圧症」の項も参照ください。)
検査は、比較的太い静脈にカテーテルという細い管を入れて、レントゲンで位置を確かめながら、大静脈、右心房から右心室、肺動脈へと場所を変え、その先端の血圧や酸素飽和度、心臓の拍出量など心臓機能を調べます。また、造影剤を入れて撮影することで、血栓などがないかを調べます。(肺動脈造影など)
■ 検査の方法
検査は、血管内にカテーテルなどを挿入する必要があり、若干のリスク、合併症を伴うため、「侵襲的検査」になり、説明同意をいただいた上で入院して実施しています。
1. 検査は血管造影室で行います。検査台に仰向けに寝ていただきます。
このあと検査が終了するまで、検査医師の許可なく、手足や身体を動かさないようにしてください。
予期しない動きで思わぬ出血などの合併症を起こす危険性があります。
何かあれば、まず、スタッフに声掛けしてください。
肘、足、首元の付け根にある比較的太い静脈に周囲を局所麻酔しながら針を刺し、カテーテルを通す
ための短い管(シース)を入れます。(皮膚の傷口は約2-3mm前後です。)
稀ですが、針やシース、カテーテルが血管内に入らない、あるいは血管内を進まない場合は、入れる
部位を変更することがあります。
2. シースを通してカテーテルを静脈内にいれ、レントゲンで位置を確かめながら、大静脈、右心房、
右心室、肺動脈へと進めて検査をします。
通常は、カテーテルを進めるうえで強い痛みなどを感じる心配はありません。
稀に血管が過度に収縮(攣縮)するなどして違和感や痛みを感じることもあります。
強いときは、検査スタッフに声掛けしてください。
3. 検査中、医師、スタッフから、「息止めしてください」などの指示がでることがあります。
造影するときは事前に説明がありますが、造影剤が入ると体が熱く感じることがありますが、すぐに
消失していきますので心配はありません。
喉や鼻が詰まる感じや息苦しさが急にでてきたときは、からだをすぐに動かしたりせずに声に出して
お知らせください。
4. 検査が終わった後はカテーテル、シースを抜いて入れた部位を圧迫して止血します。
安静時間は部位によって異なり、個別に指示いたしますが、病室へ戻ったあとも再出血を予防するため
数時間は安静が必要となります。
なお検査時間は内容により異なりますが、約1-2時間くらいです。
■ 検査に伴う合併症とその対応
心電図や血液検査と異なり体の中に異物であるカテーテルを入れて行う検査であり、1%以下の確率ですが以下のような合併症がおこる可能性があります。
状況、経過によっては、緊急手術、救命処置が必要となる場合があり、死亡も含め後遺症を残す可能性があります。
1)局所麻酔薬(キシロカイン)、造影剤などの薬剤によるアレルギー(蕁麻疹、吐き気だけのものから重症のショックまで)や、腎機能障害
2)心不全の悪化、致死性不整脈の出現
3)血管や心臓の損傷、穿孔などによる出血や、血栓による血管の閉塞(心筋梗塞、脳梗塞)
4)発熱、感染症
5)カテーテルの挿入と関連した出血や神経障害
など
合併症が起きた場合には通常の保険診療内で最善の処置を行います。重症の場合、気管挿管や手術等の治療が必要となる場合もあります。