部門紹介
リハビリテーション科では、呼吸器疾患(COPD・間質性肺炎・肺がん・肺結核など)の患者さまに対し、理学療法・作業療法・言語聴覚療法を提供しています。「息切れ」などにより低下した運動機能や日常生活能力の維持・改善を図り、入院中から退院後の在宅生活までを見据えて、患者さまがその人らしく自立した生活を送れるよう支援しています。
理学療法

呼吸器疾患に対する理学療法
呼吸器疾患の患者さまの一番の問題は「息切れ」です。肺に障害があると「息切れ」のために十分に動くことができなくなり、運動不足になります。その結果、筋力も衰えます。このように「息苦しいから動かない」という状態は、筋力や日常生活能力のさらなる低下という「悪循環」を引き起こします。
このような「悪循環」に陥らないために、理学療法部門では、息切れ・咳・痰などが強い患者さまが、より楽に動作し、より自立した生活を送れるように、筋力などの運動機能の改善、効率の良い呼吸法や動作方法、痰の出し方などを練習します。また、退院後も酸素を必要とされる患者さまに対しては、在宅酸素療法(HOT)の指導を行い、ご自宅での生活をより良く過ごせるよう支援していきます。
肺がんに対する理学療法
がんの理学療法は、原疾患の進行や手術・放射線療法・化学療法により生じる様々な症状や、患者さまが受ける心理的問題に配慮しながら実施します。手術を受けられる患者さまに対しては、手術後の合併症予防や体力低下を最小限に抑え、手術後も順調に回復できるように運動療法や呼吸リハなどを実施します。化学療法・放射線療法を受けられる患者さまに対しては、体力低下を予防し、日常生活動作能力を維持するための運動療法や動作練習などを実施します。また、緩和ケアが主体となる場合は、日常生活動作能力の維持や自宅退院に向けた支援などを行い、患者さまのQOLの維持・向上を目指します。
作業療法

作業療法は、「人々の健康と幸福を促進するために、医療、保健、福祉、教育、職業などの領域で行われる、作業に焦点を当てた治療、指導、援助である。作業とは、対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為を指す」と、日本作業療法士協会により定義されています。当院の作業療法では、呼吸器関連疾患を有する方に特化した以下のような援助を行っています。
呼吸器疾患に対する作業療法
慢性呼吸器疾患では、呼吸困難感(息切れ)の増強により日常生活(入浴・家事・仕事・趣味など)に支障をきたす場合があります。動くと息切れが生じるため自宅で横になって過ごす時間が多くなりやすく、筋力や持久力低下が生じ、さらに日常の活動量が低下するという悪循環を繰り返してしまう恐れがあります。
そのため作業療法では、トイレや着替え、入浴などの日常生活動作において呼吸困難感の軽減を図るために、動作に合わせた呼吸方法や動作と休息のタイミング、酸素消費の少ない効率的な動作を獲得するための練習を行います。また、生活スタイルに合わせた活動量の調整や環境調整を行うこともあります。呼吸困難感に影響されにくい日常生活を取り戻すことにより、生活の質(QOL)を高めることを目指します。
肺がんに対する作業療法
治療に伴う副作用(食欲不振・倦怠感)や入院治療の長期化による活動量の低下、骨転移・脳転移による運動障害により日常生活に支障をきたす場合があります。その中で作業療法士は、様々な作業活動を通して日常生活動作能力の維持・改善を図るとともに、呼吸困難感や疲労感が生じにくい動作方法の指導、自宅の環境を想定した動作の練習を行っています。また、必要に応じて退院後の生活動作が安全で楽に行える福祉用具の選定や手すりの設置、段差の解消などの住宅改修といった環境調整、サービス(訪問入浴・ヘルパー)導入に関して助言も行っています。
在宅酸素療法に対する援助
慢性呼吸器疾患が進行すると血中の酸素量が不足しやすくなり、肺や心臓に負担がかかってしまうことがあります。そのため、医師が必要と判断した場合に在宅酸素療法が適応となります。在宅酸素療法導入にあたっては、活動時に必要な酸素流量を調整したり、酸素機器(室内用の酸素濃縮器、屋外用の酸素ボンベ)操作の習得が必要になります。当院の作業療法では、自宅で利用する酸素濃縮器の必要酸素流量調整、操作練習、管理方法、設置場所の相談などを中心に援助します。また、仕事や趣味活動も想定した在宅酸素機器の利用についてもご相談に応じます。
言語聴覚療法

言語聴覚士とは
ことばによるコミュニケーションや、水分や食事を安全に飲み込む機能(摂食・嚥下機能)には、言語、聴覚、発声・発音、呼吸、高次脳機能、認知機能などの各機能が関係していますが、脳卒中や脳腫瘍、神経筋疾患、呼吸器疾患、がん、認知症などの病気が原因でこのような機能が損なわれることがあります。言語聴覚士は、コミュニケーション機能や摂食・嚥下機能に問題がある方に対して評価や訓練を実施し、機能の改善を図る専門職です。
呼吸器疾患の言語聴覚療法
呼吸器疾患から生じる声と飲み込みの問題
慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺炎(IP)、誤嚥性肺炎、肺がん、肺結核等の呼吸器疾患が原因で、嗄声(声がかすれる)・声量低下(声が小さくなる)や摂食・嚥下障害(水分や食事がうまく飲み込めない、よくむせる、食欲がなく体重が減少する等)を認めることがあります。それらの改善のため、発声訓練、発声・発語器官の運動訓練、呼吸訓練、嚥下訓練等を実施します。嚥下障害の有無や嚥下状態の詳細を把握するため、嚥下造影検査(VF)という精密検査も実施し、リハビリテーションの方針を決定します。
高次脳機能(認知機能)の低下の問題
脳血管疾患や脳腫瘍、加齢の影響(脳の萎縮)等が原因で、注意力・集中力、記憶力、言語機能といった高次脳機能(認知機能)が低下する可能性があります。高次脳機能の低下がコミュニケーション障害、嚥下障害や栄養障害の原因となる可能性もあります。必要に応じて高次脳機能の検査や訓練を実施します。
嚥下造影検査(VF)や栄養サポートチーム(NST)等のチーム医療に参加
医師、看護師、放射線技師、栄養士とともに、嚥下機能の精密検査である嚥下造影検査(VF)を行っています。また、医師、歯科医師、看護師、薬剤師、栄養士とともに、入院患者さまの栄養状態の改善を目指す栄養サポートチーム(NST)のカンファレンスに参加しています。多職種がチームとして連携することで、患者さまへのより良いアプローチを目指しています。








